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■医学的に見た格闘技界にある非常識〜その5〜

意識のない選手の頸椎を揉む?

 これもタイの人の常識で、僕らからすると非常識な話。セコンドが意識のない選手の首を一生懸命揉んでる。
いくら「だめだ」といっても彼らはやります。
私がリングドクターを引き受けている団体の大会会場ではやらせないように注意していますが、
僕がみていないところではやっていたりするらしい。困ったものです。

 こういう場合、選手を安静にさせるのがいちばんです。安静にしておくのは、全身の状態を見なければいけないし、骨が折れていたり内部臓器の損傷があるかもしれないからなのです。ただでさえ脳しんとうを起こしているのに、なぜ彼らは頸椎を揉んで、追い打ちの脳しんとうを起こそうとするのでしょう。

 日本の救急隊員もアメリカのレスキュー隊員も、事故の後には必ず首を固定して動かさないように注意しながらケガ人を運んでいます。これが本当の姿です。
意識のない人や意識が戻ったばかりの選手の首を揉んだり、頭を 強く振っているのをみると
「ちょっと待て、殺す気か!」といいたくなります。


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