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■医学的に見た格闘技界にある非常識〜その6〜

捻挫した関節を引っ張る?

 ヒールホールドでギブアップした場合、骨折している可能性もありますから、
正確な評価をする前にマッサージをしたり関節を引っ張ったりするのは非常識。
まともなドクターなら、まずこういうことはしませんが、プロレスなどのトレーナーの中には、
こんな非常識なことを平気でしている人もいます。

 某プロレス団体のドクターをした時、足を引きずって控え室に戻った選手の 様子をみにいきました。
ところがトレーナーが選手に何が起こってるかという 評価をするまえに、選手が靴をはいたままの状態で
足首をつかんで「エイエイ」 と引っ張ったりひねったりしていたのです。
悲しいことに選手もその処置が 正しいと思っているから、激痛があっても我慢していました。

 とくにプロレスラーは自分の体が資本で、自分の健康を守るためにものすごく 神経質になっています。
にもかかわらず、いちばん大切な身体を知識もない 人間にまかせてるのが、僕には信じられなかったのです。
もちろん真面目で立派なトレーナーもいて、勉強して選手のために少しでも役立てようと努力する人もいますが、
なかには無知なまま、いいかげんなことをして治療をしているような気になっている人たちもいるのです。
 たまたまその場に居合わせた医者よりもいつも身近にいて相談に乗ってくれるトレーナーの方を信じる
選手の気持ちもわかりますが……。

骨折の可能性も考えられる捻挫をした場合は、そのまま安静にして固定し、
患部を冷やして早めの検査を受ける。これが常識です。


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